――グレイヴとはなに?

 

(フェルミのへや第四話『グノー“電話”』の説明と軌跡)

「グノー商品の、『電話』についてご説明をよろしくお願いします」
「『電話』の進化は日進月歩。このデザインも古くなってもうたな」
「スマホが主流ですし、アプリを使ったカスタマイズ携帯でシェアを拡大する携帯事業にどうやってぼく達が参入するんですか?」
「そんなことくらいで泣くんやない!うちと談合3兄弟一緒にしたらあかんで!」
「博士、あんまり口が過ぎると支配人に怒られますよ」
「デザインは旧型かもしれへんが、中身は他に負けへん最新版OS対応や。さらにうちが負けへん理由は見える部分じゃなくて見えない部分や」
「見えない部分・・・?電池パック?」
「アホ・・・、この携帯電話のみ特殊な『電波』を受け取れるんや」
「『電波』ですか?」
「せやで。催眠『電波』の方が親しみ湧くかもしれんな。もとよりそういう類の商品やで」
「うわあ。興味湧いてきました。では、『電波」について教えてください!」
「(催眠電波言うてんのに喰いつき良すぎへんか。最近の若い子は催眠好きなんか。うわ、こわぁ)」
「この電話でかける番号は相手ではなく、相手の脳に直接語り掛けるんや。脳はただ信号を出すだけなので疑問や否定をしない。つまり、自分の命令を相手に聞かせる道具や」
「脳?直接?難しすぎてよく分かんないよ」
「百閒は一見に如かずや」
「あっ、電話が鳴ってる・・・。ありがとうございます、エムシー販売店です・・・!」
「・・・・・・・・・」
「いまのアンタは所謂“催眠状態”いうもんや。あとは通話の要領で命令すれば、無意識にアンタは実行するいうことや」
「この通話が切れても暗示は残るからな。まるで脳が電波に刺激されて命令を忘れることは終わるまででけへん」
「どや。このように、いまのアンタはうちの操り人形になるんやで」
「さて、あとはこの我が儘な新人に社会の厳しさを叩きこむだけや。うちの頭を見たら頭を下げさせ、必ず定時が過ぎたら応援にくるように仕向けて夜中まで酒に付き合うてもらうだけやな」
「なるほど!頭がぽぉっとして、ふわふわしていて気持ちよかったですが、あれが“催眠状態”というものですか」
「うわあ!?アンタ、なに素面に戻ってるん?そんなこと、ありえへん。うちの商品を破ってきた言うんか!」
「そんな動揺することかな?ぼくにはよく分かんないよ」
「面白いね。この携帯は!――つまり携帯でゲームしている子たちは電波によってゲーム脳に変えられて――」
「だまらっしゃい!!アホなことは言うなや!!」

――魔道具NO,04『電話』

かつては『折りたたみの携帯電話』。電話をかけた相手に直接催眠電波を送り、瞬く間に催眠状態にすることが出来る優れもの。

最新版では『スマートフォン』として最先端技術を駆使した『アプリ』、『アバター』、『ソシャゲ』を発表。催眠、洗脳、記憶書き換え、肉体変化など、相手は自分が変 化されたことに気付きにくい利点がある。IT革命の先駆けをいく。

多機能よりもシンプルなデザインの参照図は『握出紋』の使用携帯。