――グレイヴとはなに?

 

(フェルミのへや第一話『グノー“鏡”』の説明と軌跡)

「作中で使われる『Grave―グレイヴ―』を取り込んだ商品『グノー』を扱うエムシー販売店。 ここでは、『グノー』のこれまでの軌跡を、『グノー』に大きく関わりを持つハロルド博士と一緒に説明していきたいと思います」  
「ハロルド博士、よろしくお願いします」  
  「発売前に『Grave』を分かり易く解説していくハロルド博士の”教えて『グノーグレイヴ』のコーナー”や!ほな、はじめるで」
「テンション高いですね!またお酒呑んでます?」  
  「うちとお酒は呑んで飲まれて揉まれる関係やで。おかしなこと言わんといてや」
「ぼく一人でやっても良いんだけど・・・」  
  「アホ。新人のアンタにうちの商品を任せられるか。アンタは黙ってうちのフォローしとけばええんや!そのためにテンションあげてるんやないか!」
「ありがとうございます!博士」  
  「まったく、シキも面倒な仕事を寄越してくれて・・・しかもお気に入りの子の御守りまで一緒かいな、ほんま最悪やで」
「顔が喜んでるよ。さっさと本題に入ろうよ」  
  「せやな。いいか?うちの話をよく聞いて、アンタも『グレイヴ』をよーく知っとくんやで。ほな、いくで」
「ワクワクテカテカ」  
   
「グノー商品の筆頭、『鏡』についてご説明をよろしくお願いします」  
  「初期は『ミラーセッション』をコンセプトに生産してたんやけどな、いつの間にか『他社変身』を代表する商品に生まれ変わったな」
「対象者を映すということは変わらないんですね」  
  「当たり前や。『鏡』は被写体を映す道具やで。鏡によって、人は自分自身を客観的に見ることができるんや。そして、身嗜みを整えたりするやろ?『鏡』は人間としての模範・規範をし、お手本や先例などと比較対照することを取り込んだ商品なんや」
「それが他者変身の起源ですか?鑑みると掛けているわけですね!」  
  「うちがシキから頼まれたのは『鏡』に沿った商品を作れいう事やからな。 『他者変身』の原理は物凄く噛み砕いて言うと、光の調整と認知能力や。あとは企業秘密や」
「small(小型化)slim(簡素化)smart(高機能)をsellするわけですね。これには消費者もにっこりですね!」  
  「うちの仕事が多くなっただけや。『営業』はいつも無茶ばっか言いよるわ!」
「しかし、その結果禍々しいオーラを放ってますねぇ。これってひょっとして博士の・・・」  
  「異彩故に『グレイヴ』は宿るんや。うちのことなんて考えずに『鏡』を覗いて好きな人物になりすましてればええんやで」
「世の男性がこれで遊んでいると思うと、胸が熱くなりますね」  
  「世の女性がこれで遊んでいる思うと、胸熱やで」

 ――魔道具NO,01『鏡』

 

かつては『姿見』を想定していた魔道具。

『姿を映したもののもう一人の自分になれる』をコンセプトに、思考変化、行動操作を付与する。

やがて、『その場に留まる』という『鏡』の弱点を『他者変身』により克服。

さらに活躍の場が広がり、ついには小型化に成功し、可愛いデザインが女子受けし、一部成人男性層にも受け、大成功を収める『エムシー販売店』一押し商品となる。

 

他人に『変身』するときに呪文を唱えたり、唱えなかったりするのは、使う人の気持ち次第だという――。