――グレイヴとはなに?

 

(フェルミのへや第二話『グノー“人形”』の説明と軌跡)

「グノー商品の、『人形』についてご説明をよろしくお願いします」  
  「この商品も四苦八苦しながら現在に至ったやつやな。失敗作の謎の物体が『人形』の原点やったな。当時のうちの心を表していた芸術作品や!」
「うーん・・・芸術はぼくにはよくわからないな」  
  「むっ、そうか。それは残念やな」
「初期から『人形』は操り要素がありましたね!」  
  「マリオネットをモチーフにしたのが『人形』やな。髪の毛でも血でもかまへん。相手のDNAを読み取り『人形』を通じて相手を操る。二体三体買って遊べるよう価格は安めに設定してるで」
「そこらへんの価格設定は他社の『人形』に沿ったモノなんですね!」  
  「はんっ!『人形』の価格はピンキリやで。藁で作った『藁人形』や十二単まで着た『雛人形』まであったんや。コンセプトは決まっていて調整までこぎつけていたのに、結局は最後に生産中止したんや。うちの苦労かえしてやああああ!」
「はぇ~。そう言う経緯があったんですか。それで残ったのは監視用の『人形キーホルダー』と、身代わりと身替わりを掛けた『人形化—イヒケルくん—』だけですか」  
  「思い出したらイライラしてきたわ。酒や!さけええ!!」
「でも、ついに完成したんですよね!『コピー人形—ニルルちゃん—』が」  
   
  「せやな。今までの『人形』の集大成が詰まった商品や」
「この人形の正面に立つ人物に『変身』するんですよね?」  
  「せやせや。鼻を押すことで被写体の姿の『人形』を作れるんや。その原理は『人形化—イヒケルくん—』のものを流用しているんやで」
「現在は等身大でも人形サイズの二種類で販売してるんですよね」  
  「等身大は観賞―フィギュア―用、人形サイズは操作―ドール―用や。使用用途はお好みで選べるで」
「なるほど!至れり尽くせりですね!」  
  「多様化しているせいで1つにまとめることが出来なかった商品やな。『人形』には様々な種類を取り揃えていくんやで!」
  「ああああっ、誰かうちの代わりに働いてくれへんかなあ!!」
「身替わりを募集しているよ・・・」  
「働くのが嫌なら辞めればいいんじゃないかな?代わりはどこにでもいるし」  
  「・・・あんた。若いなりに結構ドライな性格やな」

――魔道具NO,02『人形』

 

かつては『黒い物体』の人のかたちをしたなにかだったもの。髪の毛を入れることで所有者の姿形を模し、操り人形にできる。

また、改良型として人形と人間を入れ替える『藁人形』や、人間を人形に変える『パペット』、人形の姿に変身できる『フィギュア』なども生産する。

最近版は『赤い鼻』を押すだけで簡単に対象の人物に模し、操り人形にすることを可能にした。

 

品揃え豊富の商品である。